Great Grandmother, Great Grandson (1998, Kapono Beamer Ent., Inc.)

名曲“Honolulu City Lights”でおなじみの兄弟のうち、Kaponoさんの方のソロ・アルバム。
GreatなGrandmotherは、ジャケットにもある、彼のおばぁさんのHelen Desh Beamerさんのこと。
代々、Kamehameha王の時代から続く音楽一家であるBeamer家のHelenおばぁちゃんは、1882年生まれで、彼女もまた幼い頃から、作曲家、ミュージシャンになることを望み、努力を重ねてきたが、特に彼女の声は高くてクリアなソプラノで高い評価を得ていた。そして、なんと、彼女が最初に商業的に、Columbia Recordsにレコーディングした曲というのが”Ke Kali Nei Au”、つまりは、”The Hawaiian Wedding Song”として知られている大ヒット曲だった。

しかし、彼女の才能は、美声のみにとどまらず、堪能だったハワイ語を生かして、ハワイの土地や文化などの知識を歌にして、更にはフラも振り付けて、後世に残るように努力することを忘れなかったという。
そして、このアルバムを聞くとわかるのだが、彼女の書き残した曲はいずれも、聞き覚えのあるハワイの名曲ばかりなのだ。
そんな名曲の数々を聞きながら育ってきたKeolaやKapono兄弟は、彼女の曲に親しみもあったし、生活に欠かすことのできないものであったのは言うまでもないが、彼らの叔母に当たるMarmionett Magoon Ka’aihueがおばぁさんの作品を体系的にまとめた書籍”Songs Of Helen Desh Beamer”を読み直した時に、改めて、その作品群の豊かさ、深さを思い知り、彼女の曲のメロディーの美しさをより際立たせるために、ほぼアコースティックギターのみでアルバムに収める構想を思いついたという。
Helenおばぁさんは、Kaponoの生まれた年に亡くなっていて、面識すらないというが、彼女の残したすばらしい音楽のレガシーを通じて、その才能とハワイへの思いは後世に受け継がれてゆく。