エキゾチカという音楽カテゴリー、もしくは、ジャンル名はマーティン・デニーの同名アルバムに由来する。
非西洋的な音楽要素を取り入れたイージーリスニング的オーケストラ音楽、またはジャズを指していて、基本的にはインストゥルメンタル演奏曲が多い。
南太平洋、アジア、ハワイなどのエッセンスに強いつながりを持ちながらも、絶妙な均衡を保ち、、”ほぼ” ハワイアンではない、ハパ・ハオレの流儀でホノルルのホテルラウンジやルアウ・ショー、TIKIクラブでビジター/ツーリスト向けに連日連夜演奏されるという現実逃避的リゾート文化から生まれた音楽がエキゾチカだ。
エキゾチカとは、南太平洋や東洋について西欧の人々がどのようにイメージしていたかを逆手に取ってブレンドし、マーティン・デニーが産み出したファンタジーであり、オセアニアの島々や ハワイなどを南国の楽園のイメージを絶妙のバランスで溶け込ませてみせた空想音楽なのだ。
本作は、東京とハワイ・ホノルルで録音された日本制作のアルバムで、プロデューサーはヤン富田さん。
YMOがデビューアルバムでマーティン・デニーの”FIRECRACKERS”を収録したのが1978年、それから12年後の企画盤。このときマーティンさん79歳、このアルバムの前作のリリースが1982年なので、8年ぶりの新譜リリースにして、最後の作品となる。
東京セッションではマーティン・デニーに影響を受けたミュージシャンが多数ハンドクラップやコーラスで参加している。プロデューサーのヤン富田さんはじめ、ジャケットの絵も描いている河村要助さん、あがた森魚さん、近田春夫さん、S-KENさん、ホッピー神山さん、いとうせいこうさん、中西俊夫さん、小西康陽さん、桑原茂一さんなどなど、この時代の東京カルチャーを担っていたアーティストたち総勢23名が「マーティンに一目会いたい」って感じで多数参加。細野晴臣さんも参加したかったそうですが、スケジュールで間に合わなかったとかなんとか。
因みに”Sake Rock”のギターは、あがた森魚さんで、シンセ・ベースが近田さん。
ホノルル・レコーディングには、Arthur Lyman, Augie Colonといった、往年のメンバーたちも勢揃いだ。
- TOKYO MELODY
- BURMA TRAIN
- BLUE PARADISE
- SAKE ROCK
- YELLOW BIRD
- CHOTTO MATTE KUDASAI
- JUNGLE FLOWER
- JUNGLE RIVER BOAT
- ROSE, ROSE, I LOVE YOU
- MAYUMI
- QUIET VILLAGE
- HAPPY TALK
- SAMBA DE CARNIVAL
- JUNE (WHEN LOVE WAS YOUNG)
- FIRECRACKERS
- FROM MAUI WITH LOVE
- RETURN TO PARADISE
“Quiet Village””Happy Talk”等名曲のかずかず、東京セッションのちょっと派手目な”FIRECRACKERS”、サンディがヴォーカルの”CHOTTO MATTE KUDASAI”等、曲の並びを見てもように、非常に興味深いセルフ・リメイク・ザ・ベストな内容となっている。