The Exotic Sounds – The Very Best of Martin Denny (1991, EMI Music Japan)

先日のColonの紹介文中に、ロパカ・コロンの父、オーギー・コロンに言及する部分があったが、”マーティン・デニー””エキゾチック・サウンド”というキーワードが響かない人にとって???でしかない事に思いが及び、急遽、マーティン・デニーの日本編集版ベストをご紹介することにした。

マーティン・デニー(Martin Denny, 1911.4.10 〜 2005.3.2)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれのピアニスト、コンポーザー、アレンジャー、、、ともかく多彩なミュージシャンで、エキゾチカ(エキゾチック・サウンド)、ラウンジと呼ばれるジャンを代表的するアーティストである。

ハリウッドなどでも人気を博したジャズ・ピアニストだったようだが、半年間の契約でホノルルを訪れ、暮らすうちに、ハワイの多様な文化の交差具合、ミックス具合に感銘を受けて、音楽的に(かなり実験的ではあるが)そのミクスチャー具合を表現してみせた。

ピアノ、ヴィブラフォンなどの鍵盤打楽器を中心として、ラテンパーカッションやアフリカ、アジアの民族楽器などさまざまな楽器を用いたその特徴的なサウンドの中でも、パーカッション担当のオギー・コロン(ロパカのお父さん)がバード・コールという独特な手法でジャングルに暮らす鳥の鳴き声や、カエルなどの動物の鳴き声をまねてエキゾチック感を加え、欧米の白人がイメージする「南国の楽園」を音楽で表現し、全米ヒットまで出すこととなった。

1959年にはアルバム「エキゾチカ」でUSチャート1位を獲得し、アルバムの代表曲ともいえる「クワイエット・ヴィレッジ」は、元来1951年に盟友レス・バクスターが作曲したものだが、この名曲もシングル・チャートのトップ5に堂々チャートインしたのだった。

また、彼の音楽が時代の中で幾度となく再評価されている点も特筆すべきだろう。
70年代後半には、日本でもイエロー・マジック・オーケストラが自身の作品(ファイアー・クラッカー)を通してデニーの魅力を世に広めたし、90年代以降もヤン富田を始めとするラウンジ系のDJたちのあいだなどで、その音楽世界は必要不可欠なものとなっている。

全盛期にはそれこそアメリカ中を精力的にツアーしたデニーだが、そのツアー終了後は半ば引退するようにホノルルへと渡ったが、無くなる直前まで定期的にワイキキのホテルで活動を続けていた。

↑Spotifyには「Exotica」があったので、こちらをリンクしておきます。

時代を感じる画質、、、w