Heart Jams (1999, Wire & Wood Music)

このブライアン・ケスラーの名前が一躍有名になったのは、ハワイアン・スタイル・バンドがハワイのミュージックシーンに登場したとき。
伝統的なハワイアンミュージックの要素を取り込みつつも、当時流行りのハワイアン・レゲエなどを積極的にフィーチャーして、コンテンポラリーなオリジナリティーを融合させたハワイアン・スタイル・バンドをシスター・ロビらと1992年に結成。このグループのサウンド・メイキングの中心的なポジションを担っていたのが、ブライアンだった。そして、ハワイアン・スタイル・バンドは、1993年と1995年のナ・ホク・ハノハノ賞で最優秀コンテンポラリー・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞し、ハワイにコンテンポラリー・ミュージックを再確立させ立役者のひとりといえるポジションだった。

とはいえ、ブライアン自身は、1953年、ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。兄に影響されて、ギターを始め、バークレー音楽大学などで音楽を本格的に学んだ後に、ボストン、デンバー、 ロサンゼルスを経て、1983年からホノルルに拠点を置いている。

解散後は、数多くのハワイアン・ミュージシャンに曲を提供し、様々なアルバム制作に参加して、ギター、ヴォーカル、コンポーザー、プロデューサーまでこなすマルチ・アーティストとして、現在も活躍している。

1999年1月に自らのレーベル、Wire & Wood Musicをベーシストのスティーヴ・ジョーンズと設立。 同年に初のソロアルバムである、本作「Heart Jams」をリリースした。

ハワイとL.A.でレコーディングされたこのアルバムは、ゲストミュージシャンがなかなか豪華で、Hapaのバリー・フラナガン、B.B.ショーンケン・エマーソン、そして、KOHALAのチャールズ・ブロットマンらが参加し、マイケル・ラフ、アラン・トーマスが楽曲制作に協力している。
しかし、30歳までメインランドで音楽活動をしていただけあって、彼の音楽性は、いわゆる”アイランド・ミュージック”のカテゴリーに収まりきるものではなく、しっかりとしたメロディー・メイカーであり、ソフトな魅力のヴォーカリストとしても、器用なギタリストとしてもと多才ぶりを惜しげもなく披露してくれている。

一方、2005年、新たにグラミー賞の中に制定された「ハワイアン・ミュージック部門」にノミネートされ初めて受賞したアルバムSLACK KEY GUITAR Vol.2 に、ブライアンも11名のスラック・キー・ギタリストの1人として参加し、その謙虚な勉強家な側面も窺い知ることができる。

この動画では、一流のジャズ・ギタリストぶりを!