このCDは、ライナーもシンプルで、ウェブ上にもほとんど参考となる記事がない。
なので、推測半分で書くと、このCDは、まずは、ウクレレ・サウンドを幅広く紹介しようとしたのではないか。
それだけに、選曲が幅広い。フラ・ダンサーに人気の「レイナニ」、スラック・キー・ギターで演奏されることの多い「オピヒ・モエモエ」、技巧派ウクレレ・プレイヤーのレパートリーには必ずと行っていいほど含まれる「星条旗よ永遠なれ」、IZのヒット曲のカヴァー、クラシックの有名曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」へのアプローチ、と同時に同じモエ・ケアレによるジャジーなアプローチの「ムーン・グロウ」といった具合に、ウクレレの持つ可能性を改めて様々な角度から再検証しているかのようだ。
また、ライナーには”Jamming instead of Ganging”とのメッセージが明示されていて、暴力的なギャングのグループから距離をとってウクレレを弾こう!とも書かれている。察するに、比較的若いリスナー層にむけての企画CDで、こんなに多様で自由にスタイリングできるウクレレでピースフルに生きようぜというメッセージを伝えるために制作されたのではないかとも思われる。
そう思って参加しているウクレレ・プレイヤーの顔ぶれを、改めて眺めると、トロイ・フェルナンデス、ケリー・デ・リマ、ハーブ・オータJr.、モエ・ケアレ、更にはピーター・ムーンとソニーD。ハワイの子どもたちにとってはスーパーヒーローなメンツが勢揃いで企画意図への推測もあまり外れていない気がしてきた。
ウクレレ・アルバムなのに、シラーっとスチール・ギターで参加し、最後に「カウアイ・ビューティー」をソロでバシッと決めて去ってゆく(?)ジェリー・バードもなかなか男前だ。
もともとは1995年にハワイでリリースされたものだが、どうやら2019年にスウェーデンのレベルから再発になっていたみたい。#2もリリースされたようだが、手元にはない。
- Leimomi – Kelly De Lima, Troy Fernandez, Andy Sexton, Jerry Byrd
- Stars & Stripes Forever/ Koni Au – Troy Fernandez
- Alohikea – Andy Sexton & Jerry Byrd
- Maui Hawaiian Sup’pa Man – Sonny D
- Romanze From Eine Kleine Nachtmusic K.525 W.A.Mozart – Moe Keale
- Opihi Moe Moe – Kelly De Lima
- Papa’s Jam – Andy Sexton
- Leinani – Herb Ohta Jr.
- Moonglow – Moe Keale
- Ahe Lau Makani/ Wai’alae – Peter Moon
- Bye Medley – Daniel Baduria
- Kaua’i Beauty – Jerry Byrd