ピーター・ムーン(1944/8/25 〜2018/2/17)は、スラック・キー・ギターとウクレレの名手で、70年代のハワイアン・ルネッサンス(ハワイ文化復興)の立役者の1人であり、次世代のミュージシャンの輩出にも大きく影響を残した超重要人物。
学生時代から作曲やさまざまな楽器演奏にのめり込んでいたピーター・ムーンだったが、とりわけギャビー・パヒヌイから大きな衝撃とインスピレーションを得た彼は、ギャビーからギターを学び、マイネ・セレネイダースの一員としてギャビーのバックを努めた後に、付き人(マネージャー?)の地位に収まってしまったという。
そして間もなく、ギャビーの次男 シリル・パヒヌイらと、伝説のグループ、サンデー・マノアを結成。
シンガー、パラニ・ヴォーンと共演するかたちで67年にデビューを飾っている。
以降、メンバーチェンジを重ねながら、あのパニニ・レーベルから、カジメロ兄弟が参加してリリースしたアルバム「グアヴァ・ジャム」は、ハワイの音楽史に残る名盤との評価を受け、彼の名声も不動のものとなる。
70年代中盤まで活躍したサンデー・マノアは、ハワイアン・コンテンポラリー・ミュージックの基盤を完全に構築してしまったと言っても過言ではない。
その後は自身の「ピーター・ムーン・バンド」を率いて数々のヒット曲を生み出し、ナ・ホク・ハノハノ・アウォーズも数多く受賞しているが、とにかく、多作なアーティストな印象が(個人的には)強い。
サンデー・マノア時代にはベスト盤2枚を含む7作品。
ピーター・ムーン・バンドとしては、同じくベストを含めて19枚!!
そしてソロ名義で、3枚といった具合だ。
ギャビーがハワイ人のアイデンティティを凝縮して造り上げた土壌の上に、ピーターは自らのモダンな感覚を無節操なほどに取り入れてて独自のハワイアン・コンテンポラリー・サウンドを築き上げた。
サンバを始めとするラテンのテイストや、レゲエの要素を積極的に融合させたのもピーター。
後に、大きな盛り上がりを見せるジャワイアン〜アイランド・レゲエのムーブメントの先駆者の一人でもあるだろう。
オーリアンズの「ダンス・ウィズ・ミー」やサム・クックの「ユー・センド・ミー」といったヒット曲などをカヴァーしているのも印象的だ。
そんな彼が、1989年に自らのレーベル、カニカピラからリリースした「ソロ」名義のインストゥルメンタル・アルバムが、本作「ダンス・ウィズ・ミー」。
参加ミュージシャンは、シリルとマーティンのパヒヌイ・ブラザース、ベースはブルース・ハマダ、ドラムにノール・オキモト、サックスはデヴィッド・チョイなど、第一線のメンバーで固めている。
歌がない分、彼のウクレレ、ギターのテクニックや、様々なサウンド・アプローチを実感しやすいアルバムに仕上がっている。
Peter Moon / Dance With Me
01. Black Orchld – 3:45
02. Dance with Me – 3:34
03. Portralts Of Paradise – 2:50
04. Yesterday Is Here – 3:30
05. Slack Key Swing – 3:38
06. Brazll – 3:21
07. Maori Brown Eyes – 3:45
08. Pandanus – 3:10
09. Para Dancar O Samba – 4:34
10. Adlos Kealoha – 2:51
※全くの余談だが、CD本体もジャケットも”i”であるべきところが、数箇所 ”l”と誤表記されているのが謎w