Moe ‘Uhane Kika – “Tales From The Dream Guitar” (1995, Dancing Cat Records)

かつて、ピアノの独奏で「ニューエイジミュージック」という新しいジャンルを確立したWindham Hill Recordsのピアニスト、 George Winstonが、ハワイのスラックキーギターという独特の奏法に出会い、そのバックボーンにまで魅入られて新たにDancing Cat Recordsというレーベルを立ち上げ、熱心にその世界観をCDで世に伝え、人々の理解を勧めるべく活動してきた。
そんな彼のカタログには、これまでこのブログで紹介してきたRay KaneCyril PahinuiOzzie KotaniBarney Isaacs & George Kuoをはじめ、まだ、紹介しきれていない数多くのスラックキーマスターズが含まれる。
そんなリストにあって、Keola Beamerは唯一、2枚作品を発表しているアーティストである。

改めて、Keola Beamerという人物を紹介すると、本名をKeolamaikalani Breckenridge Desha Beamerといい、1951年2月18日にホノルルで生まれたが、ビッグアイランドのワイメア/カムエラで成長する。

15世紀からハワイ王朝に支える音楽一家の一員として教育を受け、正統に伝統を継承し、正しいハワイ文化の伝統継承の手段としての音楽と向かい合ってきた。

さらに、Keolaはスラックキーというハワイ独特のオープンチューニングに独特の共鳴弦による倍音が存在することに気づき、そうしたハワイならではの音場、もしくは音響学に着目して今回のレコーディングに臨んだという。

Keolaは、彼自身の革新と解釈を加えながら音楽の伝統を認め、故ギャビーパヒヌイの遺産を引き継ぎつつ、 ナイロン弦とスチール弦のアコースティックで演奏され、時には微妙なエレキギターを伴うクラシックなインスピレーションを得たアレンジメントが、スラックキーを非常に独特で魅力的なものにする本質的なハワイの属性を失うことなく、モダンな雰囲気さえ漂わせている。