Steve Jones、もしくは、Stephen Jonesは、これまでに紹介してきた数々のアイランド・ミュージックの名盤を支えてきた敏腕ベーシストで、自らのレーベルでヒーリングアルバムなどを企画・制作してきたプロデューサーでもある。
このアルバムは、サブタイトル的に”The Steve Jones Collective Vol.1featuring Jacob Koller, Darryl Pellegrini & Noel Okimoto“と表記されているが、実質的には、Jacob Kollerという若いピアニストをバックアップしたプロジェクトだ。
そもそも、Steve Jones Collectiveは、さまざまなミュージシャンを集めてさまざまな種類の音楽表現を探求する一連のCDをリリースするためのプロジェクトをとして立ち上げられたもの。Vol.1以降、リリースがないので、推測でしかないのだが、きっと、Steve, Darryl, Noelという30年を超えるキャリアをもつベテラン・リズム・セクションが、次の世代を担うことになるであろう才能あふれる若きミュージシャンたちをサポート/バックアップしてゆこうという企画の立ち上げだったのだと思う。
アルバム全11曲中4曲がJacob作の楽曲で、演奏面以外にも彼の能力が高く評価されている感が感じ取れる。
Jacob Kollerはアリゾナ州フェニックス出身。4歳でクラシックピアノの勉強を始め、高校に入学する前までに、10以上のクラシックピアノコンクールで優勝していた。 Jacobは完全なジャズ奨学金でアリゾナ州立大学に通い、世界クラスのピアニストに個人的に師事したり、地元フェニックスで、世界最高クラスのジャズミュージシャンたちとの共演も果たしている。一連の幅広い活動の中には、Martin Dennyとの共演もあったようで、その辺りからSteveとのつながりが生まれてきたのだろう。
このアルバムは、ガチなジャズのアルバムで、録音された場所がハワイであること以外、「ハワイアン」なテイストは何一つない。
- Dreamsville
- Hear A Rhapsody
- Smocrian
- Fridge Vampire
- Disguise
- PBJ
- Don’t Tell Me How To Feel
- What Peace This World
- Eiderdown
- Bouncing With Billy
- Body And Soul
さて、このアルバムについて、調べ物をしていた時に、思いがけない事実に出会ってしまった。
このSteve Jonesは、3年に亘る闘病生活の末に、ガンのため、2016年、61歳でこの世を去ってしまっていたのだ。今更ながらだが、ご冥福をお祈りしたい。