シーウィンドは、70年台に世のフュージョン・AORブームにのって登場し、本人たちは意識していなかったのであろうが、「ハワイ出身」という冠のもと、海・サーフィン・夏みたいなイメージを伴って、日本でも幅広く人気を得た。
シーウィンドは、決してアイランド・ミュージックというジャンルでは捉えきれないジャズ・フュージョングループだ。
もともとは、OXという名前で活動していたグループが、ホノルルのホテルのロビーで演奏していたヴォーカルのポーリン・ウィルソンに出会い、ストーリーは動きはじめた。彼らは、拠点をロスアンジェルスに移し、グループ名を「シーウィンド」に改名して正式に活動を開始した。程なく、世界的に有名なドラマー、ハーヴィー・メイスンに見いだされて、ジャズ界では名を知られたライヴハウス「ベイクド・ポテト」でレギュラー出演するとともに、CTIレーベルからデビューすることとなった。
かれらは、解散する81年まで、5年間で4枚のアルバムを残しているが、ハーヴィーのほかにもトミー・リピューマやジョージ・デュークにプロデュースされていて、業界内での彼らの評価の高さをうかがい知ることができる。
殊に、シーウィンド・ホーンズと呼ばれたホーンセクションは高く評価され、トランペットのジェリー・ヘイや、サックス&フルートのラリー・ウィリアムスらは解散後もスタジオ・ミュージシャンとして、マイケル・ジャクソン、チャカ・カーンを始めとして、様々なアルバムのクレジットで見かけることが多かった。(残念なことに、このアルバムにジェリー・ヘイは参加していない、、、)
また、ハワイ島ヒロ出身のヴォーカルのポーリン・ウィルソンはソロアーティストとして、1979年にジョージ・ベンソンとのデュエット曲「フレンズ」でグラミー賞を受賞したほか、ブルース・ホーンズビー、セリーヌ・ディオン、クルセイダーズなどを始めとする数多くのアーティストたちとキャリアを積み重ねていた。
彼女の歌声はFM802の「パシフィック・オアシス」の5周年記念アルバムでも聞くことができた。
2004年にリリースされた、ラリーとポーリンのそれぞれのソロ・アルバムのレコーディングに、シーウィンドのメンバーが何かと協力し参加することとなり、そのことがきっかけとなって翌2005年にはリユニオン・コンサートを開催。
そして、なんと、解散後28年を経て、新たにレコーディングされ。リリースされたのが、このセルフカヴァー5曲+新曲7曲から構成されるアルバムなのである。
#1と#4では、ゲスト・ヴォーカルのアル・ジャロウが彼独特のスキャットを聞かせてくれている。
- He Loves You*
- Kept By Your Power
- Sunshadow
- Hold On To Love
- Follow Your Road*
- Wayne
- Free*
- Everything Needs Love*
- Pearl
- You’re My Everything
- Devil Is A Liar*
- Liquid Spies
*がセルフ・カヴァー曲 - Put Another Nickel In The Jukebox Of My Heart(ライヴ録音のこの曲は意図的な隠しトラックのためライナーに記載はない)
何故か曲順が大幅に変更になっているのだが、、、