When I Hold You in My Heart (1996, PUA Records)

Clay Mortensenは、ホノルル生まれだが、音楽活動はマウイ・カパルアのリッツ・カールトンなどを拠点に幅広く音楽活動を行っていたネイティヴ・ハワイアンのヴォーカリスト。フルネームは、Clay Arthur Kaleolani Mortensenで1968年生まれ。存命であれば、現在53歳だが、2016年、48歳でこの世を去っている。原因は明らかになっていない。

オアフ島時代、1991年からワイキキで”Don Ho Show”でのヴォーカリストとしてエンターテインメント業界のキャリアをスタートさせる。数々のCM、ラジオのジングル制作や、Kealii Reichelをはじめとする数多くのミュージシャンたちのレコーディングやライヴにおけるバックヴォーカルなど幅広い活動を続けながら、1996年に自身として初めてのアルバムとなる”When I Hold You in My Heart”をリリースするにいたる。

しかし、本来、Clayの作品となる予定ではなかった本作が彼のソロ・デビューとなった経緯が、このアルバムのすべての楽曲を提供し、プロデューサーも務めたKenneth Makuakaneによってライナーノーツに詳しく紹介されている。

Kennethは自ら率いるコンテンポラリー・ハワイアン・バンド、The Pandanus Clubがオリジナルもトラディショナルなものもやり尽くしていて、新しく書いた楽曲の「行き場所」が見つからなくなっていて、そんな作品を集めた自分の新しいソロ・アルバムを制作する準備に入っていた。最終的に収録する曲も選び、レコーディングの為のバンド・メンバーも集め、リハーサルに入った段階で、バックグラウンド・シンガーを用意できていないことに気づいた。で、その時に、メンバーの一人が紹介してくれたのがこのClay Montensenだったという。で、彼を試したところ、数分にして、彼の声が、このアルバムのためにあると判明し、急遽、Clayをメインヴォーカリストに据えたレコーディングの準備に入ったというのだ。そして、そのレコーディングを支える腕利きのスタジオ・ミュージシャンたちを新たに揃え直し、このアルバムを制作した。Kennethが20年間の間に書き溜めた10曲の収録曲は彼自身の人生の縮図のようなものだが、これらの曲に命を吹き込めるのはClay以外に考えられなかったとまで称賛しているのだ。

実際、ブラコンっぽい曲から、チャントをフューチャーしたアイランド・ポップ的な曲までタイプは様々だが、なかなかな名曲揃いの隠れた名盤だ。
KennethはAcoustic Guitarのみでレコーディングに参加していて、アレンジャー、プロデューサ位に徹している様子。SaxにはDavid Choy、DuetやChorusでLehua Kalimaといった一流どころのクレジットも見える。

  1. When I Hold You in My Heart
  2. Pele
  3. Hula Girl
  4. Bacck to Love
  5. Jigger Jigger Mabel
  6. Wind Rider
  7. Just Like Me
  8. Maui Smiles So Sweetly
  9. You in the Morning
  10. Taking It
Kapaluaのリッツ・カールトンでのライヴの様子