Playtime (2009[1980], Vivid Sounds[Broad Records])

レア・グルーヴというのかハワイアン・AORと呼ぶのかはよくわからないが、1970年代に世界的に音楽業界を席巻したメロー、あるいはファンキーなR&Bテイストの影響をもろかぶりなハワイのバンド。
オリジナルは1980年にリリースされたが、2009年に日本で「発掘」されCD化された。
ある意味、渋谷系なのかな?おしゃれなラウンジ系DJに重宝された音源のようだ。

ジャケットは、当時の7-upのパッケージにインスパイヤーされたというレトロでポップな印象。
裏ジャケットには、メンバーのバストアップの写真があり、それによると、サンディー・パスカル、レス・フェルナンデス、テディー・コンペホス、エリック・カッツェン、クラーク・シルヴァ、ヘミングウェイ・ジャスミン、アドニィ・アタバイの7人編成と思われる。(写真のない人がリードヴォーカルをとっている曲もある、、、)
それぞれの担当もクレジットされてないので、楽器編成も不明だが、再発に向けてのライナーノーツ用インタビューにはクラーク・シルヴァなる人物が答えているので、この人物が中心人物のようだ。

収録されている全8曲中、7曲はアレンジもメロディーもおしゃれで、ハワイと殊更に強調されなければ、まぁ、それなりのAORバンドとして聞けたと思う。

しかしだ。基本、スタジオレコーディングにも関わらず、曲間にいちいち挟んでいるライヴのMCが意図不明。
ましてや、悪ふざけのすぎる「チョットマッテクダサイ」ライヴ・ヴァージョンを収録する意味は無い!
それらの部分を自分で編集(カット)して、きちんとした楽曲を並べてスッキリ聞きたいぐらいひどい。
多分、ワイキキのホテルとかクラブでハコバンやってたんだろう、、、この人達。
このアルバムのプロデューサーやった人物は、そこに「売り」を見出して、こんな「バイショー」臭い作りにしたんだろう。何たる悲劇。人様の作品をけなすようなことは、本来したくないのだが、メンバーが気の毒なほど、アルバムの作りがひどい!というか、ほんとに、彼らの才能がもったいない!!

一方で、ハワイアン・ルネッサンスを掲げて、スラック・キー・ギターやフラに原点回帰してハワイアンのアイデンティティーを再度見出そうとしていた同時期に、ガッツリとアメリカ本土に顔を向けたこうしたバンドが成り立っていたのも世界有数の観光地「ハワイ」ならではなのかもしれない。
とはいえ、セシリオ&カポノカラパナも「ハワイ」を引っさげて世界に躍進して行ったのはこの時期なんだよな、、、いろいろと感慨深い。