アロハの贈りもの(2012, 阪急コミュニケーションズ)

ビショップ・ミュージアム・プレスから刊行されているハワイのことわざ辞典“’Ōlelo No’eau – Hawaiian Proverbs & Poetical Sayings(Mary Kawena Pukui著)”に掲載された2942のことわざから75のことわざを厳選して掲載している。

監修はミュージシャンであり、クムフラであるトニー・タウヴェラ氏で、ハワイ語やハワイ文化の解説を加えている。
短いことわざの下に添えられた解説は、ハワイの神話、文化、風習などに裏打ちされた興味深いもの。

ハワイ語にはkaonaという隠し言葉(?)、間接的な表現で、直訳とは意味の違うWミーニングを表現できる。そのため、フラで歌われる歌詞が、一見(?)美しい風景を歌っているようでも、愛する人への強烈な想いが込められていたりするものがある。
日本の京言葉のように「額面通り」受け取っていては、無粋な人と評価されるのに似たような構造だったりもする。
そういう意味でも、ロコで、クムフラの監修なくしては、成立しえなかった一冊なのではないかと思う。

そもそも、文字という文明を持たなかったネイティヴ・ハワイアンたちは、メレ(音楽)、オリ(チャント)、フラ(踊り)によって先祖から伝わる神話、言い伝えなどを代々口頭で伝承してきた。
こうしたことわざ一つ一つはも、それぞれの家庭、一族にのみ伝えられてきたものかもしれない。

1日1ページとか、ゆっくり噛み締めながら読みすすめるとじわじわと効用の出てきそうな一冊。

この書籍をまとめた、ウル・プロジェクトはぼくの先輩だったり、知り合いが運営している団体なこともあって、紹介させていただいた。

この書籍から抜粋された12のことわざと、ハワイの美しい写真で構成されたカレンダーは、毎年好評!すでに9冊目!?