KapenaのKelly Boy De Limaのソロ名義のアルバム。
ハワイアン・チャントで厳かに幕を開けたと思ったら、名曲「涙のクラウン」(スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ)の軽快なレゲエ・カヴァーへと遷移し、カントリー歌手、ジョージ・ストレイトの”I Cross My Heart”をしっとりと女性ヴォーカルとのデュオで聴かせ、Kelly Boy自身の手掛けたオリジナルを数曲配置して、ハワイ色を強めに出したかと思うと、#10 James Taylarのヴァージョンでもおなじみの”Handy Man”、そして、ゴスペル・グループ、The Winansの”It Won’t Be Long”の渋いカヴァーにハワイアン・チャントをかぶせて締めくくるという構成。
このアルバムの発表された1998年は、ここまでの約10年間、Kapenaとして活動を共にしてきたTeimomi “Timo” Tatofiと、お兄さんのTivaini “Tiva” Tatofiと道を分かち、De Lima一家によって構成される新しいKapenaへと移行してゆく始まりの年で、Kelly Boyのある種の決意を込めたワンクッションとなる1枚としての意味を持つものと理解するとわかりやすい作品。
そう思って、改めてアルバムを眺めていると、ライナーには、「このアルバムは、いつも自分とともにいてくれる妻と3人の子どもたちに捧げる」とあり、TimoとTivaへの感謝の言葉もあるが、逆にこの2人から、このアルバムへのお祝いメッセージもあったりして、「中締め」感と、これからの新しい活動への暗示が込められている感が感じ取れる。
この後、約10年の時間をかけて、息子や娘の若い感性を柔軟に受け入れて、ロックやヒップホップも取り入れた、より現代的な新生Kapenaのサウンドへと進化してゆくことになる。
- Prelude
- Tears Of A Clown
- I Cross My Heart
- Tropical Lady
- Pipeline
- Aloha No Wau I Ko Maka
- King Drop-In
- Another Maui Day
- My Dear Darling
- Handyman
- It Won’t Be Long