Pacific Techno Beat (1996,Hula Records International)

このCDは、Hula Recordsからリリースされているが、Hula Records本体ではなく、”Hula Records International”という、いわば暖簾分け的な別レーベルからである。
で、”Pacific Techno Beat”というタイトルの示すとおり、基本はシンセのプログラミングによる打込みリズムがあって、その上に、伝統的なポリネシアのチャントやパーカッションがダビングされているという作りになっている。
ディズニー映画の「モアナと伝説の海」のサントラに出てきそうな感じのサウンドという説明が一番しっくりする感じのサウンドが満載。
勿論、このアルバムのほうが20年近く早いのだが。

かつて、1990年代初頭のワールドミュージック・ムーブメントのときに、ピーター・ゲイブリエル、ポール・サイモン、スティングらが、こぞってジャマイカやアフリカン・ビートを取り入れ、新しいグルーヴやインスピレーションを得ようと試みたが、本作は、自らのルーツを追認し、アイデンティティーの確認とリノヴェーションを同時に模索しているように感じられる。

アルバムタイトルの「フェヌア」とは、「祖国」「母国」という意味。
この企画の中心人物は、ガイ・ローレンスというタヒチ生まれで、タヒチアンとフランスの両方の血を引く作曲家、ミュージシャンで、彼はヴォーカル、ギター、ウクレレ、ドラムス、そしてシンセ全般とほぼすべてのベーシックなパートを彼が担当し、それ以外のエスニックな部分は、40人以上の本物のポリネシアンの人々に担ってもらっているという感じ。
古から伝わる神話や伝説からリスペクトを込めたモチーフの歌詞と、現代的なテクノ・ビートが交錯する新しい形でのフュージョンなダンスビートが体験できる1枚。

大きな心で環太平洋文化を俯瞰的に楽しめる人向けな作品。

  1. Tiki Dance
  2. Puaa
  3. Mama Rava
  4. Taaroa E
  5. Te Atua
  6. Vahine Tinito
  7. Paradisia
  8. Ah Ha Ha
こんな世界観なわけです。