このところCDの紹介記事が続いたので、久々に書籍をご紹介。
この本の著者の平野恵理子さんという人物は、横浜在住のイラストレーターさん。
あまり細かい日時の記載はされてないので、あくまで推測に過ぎないが、1980年代初頭から約10年ほどハワイ島ヒロに通い詰めて、ご自身の目で、耳でそして、体験を通じて体得したことが書き綴られたエッセー集。
そして、さすがイラストレーターさんらしく、文章のあちこちに手書きのイラストがふんだんに添えられている。
表紙を見ても分かる様に、それらは、ウクレレ、ストローハット、そして、ちょっと懐かしい香りを漂わせるヴィンテージカーからはじまり、ローカルな家屋、街並み、セーフウェイの店内やダイナーの店内の様子、ハワイアンシャツのラベルやハワイアンキルトの柄など、とにかく目に入ったであろうものはすべてといっていいほどイラスト化されている。
今の時代には、インスタなどのSNSで拾い集めているであろう1ショット、1ショットを丁寧に温かいハンド・ドローイングな作風で書き起こした感じ。決して、ワイキキでは経験できないローカルな日常に根付いた人々の生活の断片。同じコミュニティーに通い続けることで交差するローカルな人々との人間的な交流。
この一冊、全般を通して、日系移民が多く、ノスタルジックでゆったりとした時間の流れるヒロの街に対する作者の愛情を、イラストと文章を通して、惜しむことなくたっぷりと滲ませている。