ハワイ研究への招待 – フィールドワークから見える新しいハワイ像(2004、関西学院大学出版会)

人文社会科学分野の様々な領域にまたがるハワイ研究の論文集。
18人の研究者、学者がそれぞれの分野での考察をまとめた論文を寄稿し、「ハワイ文化の基層と先住民の権利回復」、「日系人の軌跡とアイデンティティー」、「交錯するエスニシティー」の3部構成で3人の編著者が系統立てて編集した1冊。
一応、「系統立て」られてはいるものの、個別の論文のテーマで切り取って、本書の前書き「はじめに」にあるように「たとえば、フラとボンダンス、あるいはタロイモ食と日系レストランを、踊りや食文化が形成するアイデンティティーや食文化のボーダーレス化といった視点から比較してみるのも可能だろう」とあるように、18個の論文を、そのタイトルから興味のある順や関連するであろう順に読み進めていって、自分なりのカテゴリーで考察するというような読み方も可能な自由度の高い本となっている。

文化人類学、社会学、言語学、政治学等を専攻する学生や、ハワイに関心をもつ社会人・研究者を対象とした「ハワイ研究」の入門書との説明もあるが、ハワイに興味を持って「ハワイ=ワイキキ」の概念から抜け出し、ハワイの「実像」をしる道標ともなる一冊。
論文というと堅苦しく感じるかもしれないが、文章自体は平易で、逆に無駄な喩えや引用がない分、知りたい知識のエッセンスがすんなりと入ってくる感じだ。

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