Aloha (1997, BCI Music)

ハリー・オーウェンス、本名ハリー・ロバート・オーウェンス(1902年4月18日〜1986年12月12日)はアメリカ、ネブラスカ出身の作曲家、バンドリーダー、ソングライターで、彼の作詞・作曲による”Sweet Leilani “は最もよく知られたハパ・ハオレな作品。

“Waikiki” “Blue Hawaii” “Lovely Hula Hands” など、「ハパ・ハオレ (Hapa Haole) 」と呼ばれるジャンルの音楽は、アメリカ本土の作曲家たちがハワイをテーマとして作ったハワイ風ポップスのこと。歌詞は英語、曲の構成も西洋のスタイルで、ハワイの伝統文化であるメレやフラとは一線を画すものである。

ハパ・ハオレが一般に知られるようになったのは、大型客船などで旅客の大量輸送が可能となった1910年代以降。ハワイが常夏の楽園として注目され始め、様々な形でハリウッド映画の題材になったことが大きく影響している。
1930年代に入ると、ハワイを “イメージした” 音楽や踊りをシーンに取り入れた数多くの映画が制作されるようになった。そんなハリウッド映画から生まれたハパ・ハオレの代表的大ヒット曲が、ビング・クロスビー主演映画”ワイキキの結婚(Waikiki Wedding)”の劇中で彼が歌った”Sweet Leilani “なのだ。

ハリー・オーウェンスは、1926年にロスアンゼルスのラファイエット・カフェでバンドを始め、 若きビング・クロスビーと出会っていた。1934年には、ワイキキのロイヤル・ハワイアン・ホテルのミュージカル・ディレクターに任命され、一足先にハワイへ。
ハリーは、これまで文章や譜面として記録されることのなかったハワイの伝統音楽を体系的にまとめて、できる限り記録し、西洋の音楽理論やジャズの手法をうまくハイブリッドして、全く新しい「ハワイアン・ミュージック」を創造することに成功した。それが、所謂、「ハパ・ハオレ (Hapa Haole) 」だった。

このことは、ハリーにとって、彼のキャリアの大きなターニングポイントとなった。
彼が率いたバンド、ロイヤル・ハワイアンズは、ハリーの構想に基づいて再構築され、これまでになかったユニークなサウンドを産み出すこととなる。スティール・ギターのスペイシーでドリーミーなサウンドをトレードマークとしながらも、ラテンやオリエンタルでエキゾチックなリズムも駆使して次々と生み出された”ハッパ・ハオレ”サウンドが、映画を通じてアメリカ全土へと広がってゆき、更には、全世界で聴かれることとなる伝説のラジオ番組”ハワイ・コールズ”のレギュラー・ハウス・バンドとしての地位も獲得した。そうして、彼はハッパ・ハオレなハワイアン・ミュージックの世界的発展に大きく貢献した人物となった。

そんな最中、1934年に愛娘の誕生を記念してハリーが作詞、作曲した”Leilani(後のSweet Leilani)”は、妻のディキシーは勿論、ビング・クロスビーの耳にも入り、それを大変気に入ったビング・クロスビーは、製作の決まっていた次回作に収録することを決め、結果として、1937年公開のミュージカル映画”ワイキキの結婚(Waikiki Wedding)”に主題歌として用いられた”Sweet Leilani “は、第10回アカデミー賞歌曲賞を受賞し、クロスビーの最初のゴールドレコードにもなったのである。

この曲は、エルヴィス・プレスリー、パット・ブーンをはじめ、数多くのアーティストたちにカヴァーされることとなるが、日本では「麗しのレイラニ」の邦題が付けられて、大橋節夫や石原裕次郎などのカバーが存在する。

そんなハリーが彼のバンド、ロイヤル・ハワイアンズとともに彼らの代表作をレコーディングし、1965年に限定版でリリースされていたあ”Aloha”が、1988年、The Best Of Harry Owens And His Royal Hawaiiansとして約20年ぶりに再発され、さらには、1997年にデジタル・リマスターされたのが本作である。

  1. Sweet Leilani
  2. Hawaiian Hospitality
  3. Hawaii My Island
  4. Cocoanut Grove
  5. Dancing Under the Stars
  6. My Isle of Love
  7. To You, Sweetheart, Aloha
  8. Syncopated Hula Love Song
  9. Voice of the Trade Winds
  10. Princess Poo-Poo-Ly Has Plenty Papaya
  11. Hawaiian Paradise
  12. Aloha Oe