懐かしきハパハオレ・メレ〜世界を席巻したハワイ音楽〜(2005, 文芸社)

著者の東間明倫氏(親しい人たちからは、トム東間と呼ばれているみたい)は、1936年(昭和11)新潟市生まれで、慶応義塾大学法学部卒業後、日本スポルディング社社長、日本コンテス社などの社長歴任した方で、ハワイアンスチールギター・アソシエーション(HSGA)副会長。

昭和28年頃、高校2年生でウクレレに出会い、当時日本でもFENで聞くことのできた伝説のハワイ・ラジオ番組「ハワイ・コールズ」に夢中になり、大学に入るとスチール・ギターをはじめて、さらにハワイアン・ミュージックにのめり込むことになったという。外資系の会社で働き始めた東間氏は、本社への出張の行き帰りにハワイを経由するようになり、実際に「ハワイ・コールズ」のステージを見ることができ、現地のミュージシャンたちとも交流を持つようになった。

太平洋戦争での中断はあったであろうが、リアルタイムにハワイアンミュージックの隆盛を体感してきた世代ならではの解説書だなぁと感じる部分が多々ある。
ハワイという土地が、歴史上の様々な出来事に翻弄されつつも、その都度、必然的な立ち位置を持ち続けてきた。
観光業とともに発展し、世界中を虜にしたハワイアン・ミュージック。
その絶頂期に成立した「ハパハオレ」という特異なジャンル形成。

どうやって、ハワイアン・ミュージックが世界にひろがったのか?
アメリカ的ハワイアン・ミュージックの成立・発展とその背景について資料を紐解き、忠実に翻訳し、解説をしてくれている。

また、「それまでの」ハワイアン・ミュージック文化の解説もあり、系統立ててハワイアン・ミュージック・カルチャー&ヒストリーを自分の中で整理してみるのにも役立った。

他のメディアではあまり目にすることなかった、日本におけるハワイアン・ミュージックの歴史、カナダ、オーストラリアやヨーロッパの国々への伝播様子は興味深かった。