ハワイアン・ガーデン 楽園ハワイの植物図鑑(2004, 平凡社)

先に紹介した近藤純夫氏の得意分野、「植物」に特化したかなりマニアックな一冊。

「フラやレイ、ハワイアン・キルトに使われる植物や、ハワイに移り住んだポリネシア人が持ってきた24の植物など、自然と文化をキーワードに解説。ハワイで見られる約400種の花や木を、美しい写真とともに解説。行ってみたい植物園がきっと見つかるハワイ各島の植物園ガイド付き。」Amazonの商品説明にはこのように書かれている。

レイ、ハワイアン・キルト、いずれもハワイの植物と深い関わりを持った文化である。
更には、フラ。ハワイの神話と深く結びついたそのストーリーにも多くの植物が登場するし、そのストーリーに関連した植物で編まれたレイでダンサーは身を飾る場合もある。
そんな訳で、よりハワイの文化を理解するためにも、植物への理解と知識は欠くことのできないものである。

この本は巻頭で、ハワイの文化と歴史に深く関わってきた植物との概論が書かれた後は、ひたすら「植物図鑑」というかデータ本である。なので、読了、読破するタイプの本ではない。
この本、本気の「植物図鑑」なので、写真のあるカラーページと、淡々と各植物のデータで埋め尽くされたモノクロページのギャップが激しい。
第2章以降は、あいうえお順に植物の「科」ごとに個別の植物が紹介されるのだが、「学名」「ハワイ名」「英名」「和名」「減算値「特徴」と記載された後に、その植物が外来種である、または、固有種である、絶滅危惧種であるなどの「備考」が記されている。
ハワイ諸島は孤島であるがゆえに、「固有種」「絶滅危惧種」とは、常に切り離せない状態であることも、なかなかツーリストには気づけない事実でもある。

巻末にある索引が和名、学名、ハワイ名、英名から調べられるので「辞書」的に使用するにも便利かもしれないが、僕のように、見たことのある花は写真である程度判別できても、名前まで知り得ない人間にとっては、ちょっと持て余し気味な「専門書」であることには変わりない。

2019年に「新版」が発行されていた。紹介されている植物が200種近く増えて637種も紹介されているらしい。以下は、そちらへリンク。