Acoustic Soul(1996, Lilikoi Records)

本アルバム「アコースティック・ソウル」は1996年の作品だが、発売以来10万枚以上のセールスをあげている。

アルバムのオープニングを飾る彼の代表曲「アイランド・スタイル」はこれまでにも数多くのコンピレーションアルバムに収録されており、ハワイのラジオ局ではしばしば耳にするロコ達のオールタイム・フェイバリット・ソング。

ジョン・クルーズは、オアフ島パロロ・ヴァレーで生まれ育った紛れもないハワイのアーティストではあるのだが、「アコースティック・ソウル」をリリースして、翌1997年にナ・ホク・ハノハノ・アウォーズを獲得するまで、その存在を知るものはそう多くなかった。

というのも、彼の主な活動の場は、アメリカ、メインランドだったから。

ジョンの生まれ育った家庭、クルーズ家は音楽一家として、ローカルには知られた存在。
父、アーニー・クルーズ・シニアは1970年代後半に何曲かのヒット曲を持つ有名ミュージシャン。
15歳の時、ジョンは父のバンドのベース・プレイヤーとしてプロのキャリアをスタートさせ、その後、兄のアーニー・クルーズ・ジュニア(後に、カアウ・クレーター・ボーイズ)と共にクルーズ・ブラザーズを結成し活動を始めるも、その後、ジョンはハワイを出る事を決意。

彼が意を決して渡ったのは、イーストコースト、最終的にはニュー・ヨークに居を移すが、そこで、数多くのセッション、ギグ、レコーディング・プロジェクト、プロデュースの仕事を経験し、ミュージック・ビジネスに関する数多くの事も吸収してゆく。
メインランドに渡って15年以上の歳月が過ぎ、ニューヨークの音楽業界でもその名がポピュラーになった頃、彼はハワイに戻る事を決意する。

そして、制作したのがこのアルバム「アコースティック・ソウル」である。
ニューヨーク在住時に、ふるさとハワイを懐かしんで作ったという「アイランド・スタイル」は、ハワイ、家族、土地への思いがたっぷりと込められ、そんな思いに共感するリスナーたちに響いたが故だったのであろう。

ハワイアンスタイル、レゲエ、カントリー、ロック、様々なスタイルの楽曲をレパートリーとしながらも、得意のスラックキー・ギターの手法などさりげにアレンジにミックスして、オリジナルなジョン・クルーズ・スタイルを展開してくれる。

そんな彼の姿勢は、ジャック・ジョンソンをも認めさせることとなり、ジャックの主催する「コクア・フェスティバル」などでは、G・ラブらとともにヘッドラインの一角を占める存在だ。

そして、10年の時を経て、2007年に待望のセカンド・アルバム「ワン・オブ・ジーズ・デイズ」をリリースするのだが、その辺のストーリーは、そのアルバムの際にでも。

Acoustic Soul(2006, Surfrock International)

オリジナル・リリースから10年を経て、ようやく日本でも日の目を見た。