前書きによると、著者、今井栄一氏によって、「この本では、〜すべての『ハワイアン・ミュージック』を、差別なく、意味なく、皆さんにご紹介したいと思います。」とある。
紹介されているハワイアン・ミュージックは、その1として、第2次世界大戦後の「常夏のハワイ」を体現したかのようなレトロなカラージャケット写真付きで48枚
その2の、アイランド・ミュージック・ガイド300として、エルヴィス・プレスリー、ビング・クロスビーあたりのハオレ(白人)ハワイアンから、スラックキーもの、ウクレレものはもちろん、ジャワイアン、ちょっと通り越して、この本の発売当時、台頭してきていたハワイアン・ラップのB.E.Tまで、前書きの「予告」通り、差別なく、ある意味節操なく紹介されている。
更には、深澤美樹氏と原田尊志氏がそれぞれピックアップした20枚ずつ、の40枚。
なんと1冊の単行本に、トータルで388枚ものアルバムが登場する。
少々、マニアックすぎる気もしないではないが、「全方位外交」な作品の網羅・充実ぶりはお見事と言うしかなく。
さらには、こうしたディクショナリー的要素の合間、合間に、片岡義男氏、今井栄一氏のエッセイ、(当時の)ホノルル・レコードショップ・ガイドなど、親の仇かのようにハワイアンミュージックのあれこれが詰め込まれている。
ある意味、ハワイアン・カルチャーに通ずるカオスぶり(もちろん、いい意味で)ですらある。
この本は、僕がよちよちと歩みはじめた、ハワイアン・ミュージックぶらり旅の大いなるガイドブックであり、ディクショナリーであった。